スピーカーやヘッドホンに求める音は、聞く対象によって求める音が変わりますよね。今回紹介する『DT990PRO』は迫力ある音を鳴らしてくれるヘッドホンになります。
この記事では10年以上『DT990PRO』を使い続けてきた筆者が、このヘッドホンのすべてをお伝えしたいと思います。
リファレンスとしてはもちろん、ロックやメタル、アクション映画の鑑賞やゲームなどにオススメのヘッドホンですよ。
『DT990PRO』の概要
ドイツの老舗「beyerdynamic」の製品である『DT990PRO』は世界的に人気の高いヘッドホンです。有名ストリーマー「Ninja」氏が愛用していることでも有名なヘッドホンですね。
ダイナミックオープン(開放)型オーバーヘッドホンのため、開放感溢れる音を鳴らします。
ロングセラーのヘッドホンのため、作られた年代によって微妙にデザインが異なるものがありますが、性能に変わりはありません。
相場価格は15,000〜17,000円前後となっており、ミドル層を狙った製品になっています。
『DT990PRO』の主な仕様
『DT990PRO』の主な仕様は以下の通りです。
形式 | 開放型(オープン型) |
周波数特性 | 5~35,000Hz |
インピーダンス | 250Ω |
感度 | 96dB |
コード | カールケーブル(引き伸ばし時3m) |
プラグ | 3.5mm(ミニ) 6.3mm(標準)変換アダプター付属 |
質量 | 250g(ケーブル、コネクタは含まず) |
もっとも注意すべき点は、インピーダンスが250Ωでハイインピーダンス仕様になっている点です。そのため、高出力なヘッドホンアンプなどを介さないと本領を発揮しづらいという特性があります。
『DT990PRO』を使ってみた感想
ここからは『DT990PRO』を実際に使ってみた感想を、以下の3つに分けて紹介します。
『DT990PRO』の良かったところ
ここでは『DT990PRO』の良かったところについて紹介します。
低音域と高音域の迫力
『DT990PRO』のもっとも特筆すべき部分は、低音域と高音域の迫力あるサウンドでしょう。
開放型のヘッドホンでありながら耳にズンズンと鳴り響く低音。そして、他の音に埋もれてしまいがちな高音域をしっかりと鳴らす性能を持っています。
一般的に言うドンシャリ系の音ですが、かといって中音域が凹んでいるかといえば、そうでもありません。ボーカル有の曲を聞いてもボーカルが埋もれることなく、全体的にバランス良く聞こえます。この辺りは後述する「高い解像度」も関係しているでしょう。
高い解像度
『DT990PRO』の解像度はこの価格帯で比較すると非常に高いです。それぞれの音が他の音に埋もれることなく、音源を忠実に鳴らしてくれます。この辺りは「beyerdynamic」らしさを感じますね。
FPSなどのシューティングゲームは索敵を行うために、足音や銃声などを元に位置を導き出しますが、そんなときにもこの「高い解像度の音」は適しているでしょう。
広い音場
音場とは音がどこから鳴っているか感じる広さです。
密閉型のヘッドホンは耳のすぐ近くで音が出ているように感じる物が多く、開放型のヘッドホンは耳から離れたところで音が出ているように感じる物が多いです。
人の好みや聞く対象によってどちらを求めるか変わるのでどちらが良いとは言えませんが、広い音場のほうが自然な聞こえ方に近く違和感を抱きにくいでしょう。
『DT990PRO』は開放型のヘッドホンということもあり音場は広く、音の広がりを感じることができます。また、同じ開放型のヘッドホンと比較しても広く感じるので、かなり広めの音場となっています。
高い耐久性
見た目からも分かる通りかなり頑丈に作られており、耐久性は非常に高いです。10年近く使っていますがまったく問題無く使えていますね。
ヘッドバンド部分の合皮部分が薄いので、すぐにボロボロ剥がれるかなと思ったのですがそんなことありませんでした。
イヤーパッド部分も大きくへたることはなく、10年間使ってきた中で交換することなく使えています。
もし、使い込んでイヤーパッドがへたってきたとしても、交換用イヤーパッドが販売されているので、購入して交換することもできます。
『DT990PRO』の良いとも悪いとも言えないところ
ここからは『DT990PRO』を使ってみて、良いとも悪いとも言えない部分について紹介します。
カールコード
伸縮するカールコードは便利な面もありますが、イマイチな面もあります。
カールコードの良いところは、取り回しが良く絡みにくいということです。片付けるときやヘッドホンを付けたまま動いたりするときに便利です。
イマイチなのは重いということです。とくに『DT990PRO』についているカールコードはかなり太く重量があります。『DT990PRO』を装着するとコードに引っ張られている感覚があります。
ハイインピーダンス
『DT990PRO』のインピーダンスは250Ωと比較的高めになっています。インピーダンスが高いとそれなりに電圧を掛けないと本領を発揮してくれません。
PCなどのヘッドホン端子に直つなぎしても問題なく音はなりますが、『DT990PRO』の本領を発揮させたいのであれば、ヘッドホンアンプを通して接続した方がいいでしょう。
私が現在使用しているヘッドホンアンプ『Sound Blaster X3』は600Ωまで対応しているのですが、このアンプに接続すると低音はヘッドホンが痺れるほど鳴り、高音はキリッと締まった音を鳴らしてくれます。また全体的に音の密度が増すのでとてもオススメです。
映画やゲームなどに使用すると迫力が更に増し、臨場感溢れる音場を作り出すことができますよ。
『DT990PRO』のイマイチなところ
最後に『DT990PRO』のイマイチな部分について紹介します。
ヘッドバンドの締め付けが若干強い
頑丈に作られているためか、ヘッドバンドの締め付けが若干キツく感じます。
頭をしっかりホールドしてくれると言えば聞こえは良いですが、長時間継続して付けていると側頭部がちょっと痛くなるほどです。メガネのフレームがあるせいでもあると思いますが、それにしてもちょっと…と感じます。
よく使っているヘッドホンの1つ『HD595』はそんなことないので、悪い部分として取り上げました。この締め付けの強さは後述する「長時間は聞き疲れる」にも影響しています。
長時間は聞き疲れる
これは音の性質上仕方ありませんが、長時間聞き続けるのは結構キツいです。全体的に音の密度が濃いため、聴覚への負担が大きいのだと思います。
「よし!聞くぞ!」という心構えで聞く分には素晴らしいヘッドホンですが、「なんとなくBGMを流しておきたい」という気持ちで聞くには少し濃すぎます。
用途を間違えなければ問題ないので、使用シーンとマッチしているかをよく考えましょう。
まとめ
『DT 990 PRO』は価格からは想像もできないほど、パワフルで聞き応えのある音を鳴らしてくれます。
常用にはあまり向かないかもしれませんが、音源の音を漏らさず聞きたい、迫力ある音を楽しみたい、といった場面では大活躍すること間違いありませんよ!
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