ヘッドホンを購入すると欲しくなってくる物といえば「アンプ」ですよね。
この記事ではCREATIVEが販売している『Sound Blaster X3』の紹介と、実際に使ってみた感想についてまとめてみました。
購入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
『Sound Blaster X3』の概要
『Sound Blaster X3』の機能
まずは『Sound Blaster X3』の概要についてですが、この製品は非常にシンプルなDACです。外観はこんな感じ。
各端子の使用方法は下記通りです。
- USB入力(信号入力と電源入力を兼任)
『Sound Blaster X3』はUSBのバスパワーで動作するので、USB接続は必須になります。USB接続すると、電力供給を受けつつ音声データの入力も行われます。
USB入力で入ってくる信号はデジタルなのでノイズの影響を受けづらく、信号の劣化が起こりづらいです。USB接続はPCはもちろんのこと、PS4やSwitchといったゲーム機器との接続にも対応しています。 - LINE入力(LINE IN)
スマホや再生機器などのLINE出力を接続して音を出すことができます。ただしアナログ入力なので再生機器によっては『Sound Blaster X3』の本領を発揮できない可能性があります。USB接続に対応していない機器を接続するときに使用すると良いでしょう。 - マイク入力
マイクの音声を取り込むことができます。通話に使えるので、テレワークの時にも役立ちますし、通話しながらゲームするときなどに使えますし、入力した音声をPCで取り込むことなどもできます。
- ヘッドホン出力
『Sound Blaster X3』のメインはこのヘッドホン出力です。最大600Ωのハイインピーダンスヘッドホンもドライブできるパワフルさを備えています。また、後に紹介するサラウンド再生機能「Super X-Fi」を有効にすることで、ヘッドホンとは思えない臨場感を得ることができます。 - 7.1chスピーカー出力
4つのLINE OUT端子にスピーカーを接続することで、7.1chのサラウンドスピーカー環境を構築することができます。『Sound Blaster X3』の主要とはヘッドホンによるリスニングなのでおまけ的な出力端子ですが、ヘッドホンとスピーカー両方の環境を手軽に構築したいときに重宝します。 - OPT-OUT
音のデジタル信号を出力する端子です。この出力を『Sound Blaster X3』以外のAVアンプなどに接続することで、別の機器から音を出すことができるようになります。音源を共有したいときなどに使うと良いでしょう。
オーディオ機器を見ていると、必ずと言って良いほど遭遇する言葉「DAC」。
DACは「Digital Analog Converter」の略であり、直訳すると「デジタルからアナログに変換するもの」です。デジアナ変換器とも呼ばれます。
USB接続などで入ってくる信号は「0, 1」で作られたデジタル信号であり、このままでは人間は音として認識することはできません。そこでデジタル信号を音の波(アナログ信号)に変換するDACが必要となるのです。
『Sound Blaster X3』の価格帯
Amazonや価格.comで確認したところ、相場価格は14,800円(税込)となっています。
メルカリなどのフリマサービスでは10,000円前後が相場となっているので、安く購入したい場合はフリマサービスやオークションサービスを使うと良いでしょう。
『Sound Blaster X3』の特長
ここからは『Sound Blaster X3』の特長について紹介します。
Super X-Fiに対応
なんか凄そうな名前が出てきて身構えてしまいますが、機能内容はシンプルです。簡単に言ってしまえば「ヘッドホンでも映画館のような臨場感・音場の広さを再現できますよ!」という機能です。
つまり、この機能を使って映画鑑賞したり、ライブの動画を見たりするときに使うと良いわけです。普通にヘッドホンで聞くときとは比較にならないほどの空間の広がり、没入感を体感することができますよ。
引用元:https://jp.creative.com/p/sound-blaster/sound-blaster-x3
インピーダンス600Ωまで対応
出力端子の説明でも述べましたが、このDACは最大600Ωのヘッドホンをドライブできます。
モニター用のヘッドホンなど、ハイインピーダンスなヘッドホンをドライブさせるには、ハイインピーダンスに対応したアンプが必要になります。もちろんハイインピーダンスに対応していないアンプでも音は出ますが、ヘッドホンの真価を発揮することはできません。
その点『Sound Blaster X3』は600Ωまでのヘッドホンをドライブさせることができ、ハイインピーダンスヘッドホンの真価をバッチリ発揮します。
引用元:https://jp.creative.com/p/sound-blaster/sound-blaster-x3
豊富なEQモード(イコライザ)
『Sound Blaster X3』にはさまざまなEQモード(イコライザ)が用意されており、「MODE」ボタンを押すことで切り替えることができます。
- ミュージックモード
音楽を聴くときに適したチューニングがされています。音楽に合わせて低音を強調する感じになります。 - ムービーモード
映画鑑賞に適したチューニングがされています。背景音を損なうことなく、セリフを強調できるので、セリフの聞き取りやすさが向上します。 - フットステップエンハンサーモード
FPSなどの索敵が重要なゲームに適したチューニングがされています。足音などが強調されて、索敵が優位になります。 - ダイレクトモード
音に色を付けず、ソース(音源)そのままの音を聞くことができます。ヘッドホンやスピーカー自体の音を楽しみたいときに有用です。
アプリ『Sound Blaster Command』による多彩な設定
『Sound Blaster X3』にはイコライザーやモードの変更などができるアプリ『Sound Blaster Command』が提供されています。PC上のアプリも用意されているのですが、Android/iOS用のアプリも用意されています。
PCに接続して使う分にはPC上のアプリを使用したら良いのですが、PS4やSwitchなどに接続している場合はAndroid/iOSのアプリを使うことで簡単かつ詳細に設定変更ができます。
『Sound Blaster X3』を使ってみた感想
ここからは『Sound Blaster X3』を実際に使ってみた感想を下記の3つに分類して紹介します。
- 良かったところ
- 普通なところ
- イマイチなところ
良かったところ
まずは『Sound Blaster X3』を使っていて「良かったな」と感じたところについて紹介します。
「Super X-Fi」が思ったより数倍良い!
「ヘッドホンの仮想的な臨場感なんて、たかが知れている」と思っていたのですが、実際に使ってみると驚きました!映画館とまでは言いませんが、非常に臨場感のある音場を構築してくれるではありませんか。
引用元:https://jp.creative.com/p/sound-blaster/sound-blaster-x3
「Super X-Fi 」がOFFだと耳元で音が鳴っているように感じますが、ONにすると音の発生源が耳元ではなく遠くに感じ、スピーカーで聞いているときのように感じます。まるで音に包まれているような感覚を楽しむことができます。まったく期待していなかったので、これは嬉しい誤算でしたね。
ハイインピーダンスヘッドホンをばっちりドライブする
本製品の売りの1つである「ハイインピーダンスをドライブできるパワフルさ」も満足した要素の1つです。ここでは私がよく使っている『DT 990 PRO』と『HD595』を「ダイレクトモード」にして音を聞いてみました。
まず『DT 990 PRO』ですが、このヘッドホンはインピーダンスが250Ωと高めです。そんな『DT 990 PRO』をこの『Sound Blaster X3』に接続して聞くと、PC直繋ぎとは次元が違う音の密度・厚みを感じることができます。
600Ωまでの対応を謳っているだけあって、ヘッドホンの真価を存分に発揮させてくれる性能を持っています。もっと早く『Sound Blaster X3』を買っておけば良かったと後悔しましたね。
また、もう1つよく使っているヘッドホン『HD595』を接続して聞いてみました。『HD595』のインピーダンスは50Ωと低めですが、こちらもPC直繋ぎと比較すると圧倒的に音の密度が違います。やはり、ヘッドホンアンプ有無で大きく音が変わりますね。
なお、インピーダンスによって「ヘッドホン ゲイン」を変更しないと、期待した通りの音は出ません。下記のようにヘッドホンに合わせてゲインを変更するのを忘れないようにしましょう。
高機能な割に安い
ヘッドホンアンプやUSB-DACなる製品はたくさんあり、しかも値段はピンキリです。そんな中で比較してみると、この『Sound Blaster X3』は非常にコスパの高い製品と言えます。機能は豊富ですし、品質的にも満足度の高いものになっています。
価格は15,000円前後と決して安いものではありませんが、満足して長く使えると考えれば手を出しても良いかなと思える価格です。売り方が上手だな〜と感じる商品ですね。
クリアな音質
外付けDACで伝送線上はデジタル信号になるので、ノイズがのることはありませんし、音が劣化するということもありません。非常にクリアで音源そのままの音を素直に鳴らしてくれます。
といっても、音自体はヘッドホンやスピーカーの方が重要なので、「うお!こんな高音質聞いたこと無いぞ!」というようなものではなく、「PC内蔵のDACと比較して音が良いぞ!」程度に捉えてください。
普通なところ
次に『Sound Blaster X3』を使っていて「普通だな」と感じたところを紹介します。
『Sound Blaster Command』は普通に使いやすいアプリ
PCやAndroid/iOS向けに提供されているアプリ『Sound Blaster Command』は使いやすいアプリで良い感じです。I/Fは分かりやすく、設定項目も見やすいです。PS4やSwitchといったゲーム機に接続しているときはスマホ版で設定などを行いますが、悩むことなく使うことができます。
本体の操作性もそれなりに良い
『Sound Blaster X3』本体にもダイヤルやボタンが付いており、ここからも音量やモードの変更を行うことができます。
ダイヤルの音量調整は結構便利で使い勝手が良いなと感じました。ボタンは3つしかないので簡単な設定しか行えないので、あまり使うことはないですが、「ちょっとダイレクトモードで音源の音をそのまま聞いてみたいな」といった時に使います。
イマイチなところ
最後に『Sound Blaster X3』を使っていて「イマイチだな」と感じたところを紹介します。
ゲーム機器に対するサポート機能が少ない
『Sound Blaster X3』はWindows/MacのPC環境と、PS4やSwitchといったゲーム機で使用できます。ただ、PCではほとんどの機能を使うことができるのですが、ゲーム機の方では使用できる機能にかなり制限があります。
機能名 | Windows | Mac | PS4 | Switch |
---|---|---|---|---|
Super X-Fi | ||||
ディスクリート 7.1 / 5.1 | ||||
バーチャル 7.1 / 5.1 | ||||
Dolby Digital Live | ||||
オーディオ バランス | ||||
EQ モード | ||||
Scout Mode | ||||
CrystalVoice | ||||
Sound Blaster Command |
メイン機能である「Super X-Fi」はサポートしていますが、それ以外はほとんど使えません。ゲーム機メインでの使用を考えている方は注意した方がよいでしょう。
後継機『Sound Blaster X4』との比較
2021年6月に後継機『Sound Blaster X4』が発売されました。
ここでは後継機では何が強化されたのかを紹介します。全体的な印象としては『Sound Blaster X3』の方が安くてお買い得じゃないかな…と思いますね。
『Sound Blaster X4』で強化された部分
まずは『Sound Blaster X3』と比較して『Sound Blaster X4』で強化された部分を紹介します。
光デジタル入力に対応
入力端子に「光デジタル(角型)」が追加されました。これによりPS4/PS5の光デジタル出力端子から信号を受信できるようになり、「オーディオバランス」機能に対応しました。
「オーディオバランス」はゲーム再生音と通話相手のボイスチャット音声をミックスして、音量のミックスバランスを調節してくれる機能です。PS4/PS5で仲間と通話しながらゲームをしているときに、「通話相手の音声が聞き取りづらいな…」といったときに活躍する機能が追加されたということになります。
「SmartComms Kit/スマート コミュニケーション キット」に対応
こちらも音声通話に関する強化になります。
「SmartComms Kit/スマート コミュニケーション キット」は発言時にマイクが有効になる「VOICEDETECT」機能や、自身と通話相手のノイズを軽減する「NOISECLEAN」機能をまとめた総称となります。これにより通話がよりクリアになり、コミュニケーションミスやノイズによるゲーム音の聞き逃しを回避することができます。
価格は17,800円(税込)にアップ
家電量販店や価格.comを調べたところ、軒並み17,800円(税込)で揃っています。つまり『Sound Blaster X3』と比較すると3,000円高いわけですね。
「光デジタル入力の追加」や「通話音声の品質向上」の恩恵を受けることができる用途であれば『Sound Blaster X4』の購入を検討すると良いですが、そうでないのであれば3,000円安い『Sound Blaster X3』を選んだ方が良いかもしれません。
まとめ
『Sound Blaster X3』はコスパの高いUSB-DACであることは間違いありません。また、ハイインピーダンスヘッドホンをドライブできるパワフルさも兼ね備えています。もしハイインピーダンスのヘッドホンを持っているのであれば、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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